言うは易く行うは難し:千里の道も一歩から…

ステップアップEBM実践ワークブック

〜10級から始めて師範代をめざす〜

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著者:名郷直樹

 

Short summary

  “EBMは道具である“わかっていても使いこなせないのなら何の意味もない。日常診療でも私達は多くの問題に直面する。しかし私達は問題を問題とも認知していない。まずは問題と認知することからEBMを”使う“ことは始まる。これはEBM初心者が徐々にEBMを”使える“ようにしてくれる本である。しかし、そうなるためには実践していくしかない。かなり、やる(読むのではない)のに骨が折れる本であるがEBMの取り掛かりとしてはこれ以上の本はない。

 

 

Review

 EBMの使い方を教えてくれる人もおらずどうして良いかわかりませんでした。今までは「その治療はエビデンスがある」だとかエビデンスの有無についてしか考えておらず、それを患者に使えるかどうかを吟味するという思考も持ち合わせていませんでした。

 どんな疑問にもPICO(T)は作ることができ、診断/治療・副作用/予後についてそれぞれ適切な研究があることがわかりました。今までの自分なら臨床上の疑問に対してPICOなんて意識すらしませんでした。診断については横断研究、治療についてはRCT、副作用については症例対照研究、症例報告など幅広く、予後についてはコホート研究が適しているということがわかりました。それを意識しながらUp To Dateなどをみてみると、Big dataはほぼその通りになっていて、驚愕しました。

 EBMを使えるようになるために、1日1つはClinical Questionを探し、その日は5分調べるようにしたいと思います。それにより自分が今まで気づいていなかった問題にも気付ける様になり、論文も読みやすくなってくると感じたからです。また、身体診察に関してマクギーの身体診察を少しずつ読んでいこうとも思います。この本は身体所見の感度・特異度に関して書かれている本であるため、検査や診断に至るまでの検査前確率を意識できるようになれるからです。

 何でも診れる総合診療医、プライマリ・ケア医になるために自分にわからない問題が出てきた時、それこそが1番自分が成長できる時です。千里の道も一歩から。地道にでもちょっとずつ、自分のできることをしていきたいと思います。