来週もまた来てくれますか?(いいともぉ〜♪):長寿外来に向けて。

また来たくなる外来

 

f:id:happyfine:20200509163507j:plain

著者:國松淳和

 

 

Short summary

 外来診療が得意な医師は読まなくていいです。外来が始まる前は憂鬱でしょうがない人は間違いなくこの本を読むべきです。この本は外来診療の指南書というよりも「自己啓発本」です。外来診療に対しての考え方をガラッと変えてくれます。外来診療は “自分のため”にするんですよ!

 

 

 

Review

 僕は医者たるもの患者さんをどうにか良くしたいと考え、外来診療では患者に何をしてあげれるのか?を考えて診療に臨んでいました。時には何もしてあげられない自分の無力さや、勉強不足を感じて自己嫌悪に陥ることもありました。

 しかし、國松先生は、外来診療は“患者さんに何をしてあげるか、患者さんに何ができるか”を考えるのではなく、“自分に何をしてあげるか、自分に何ができるか”と常に「自分」を対象に考えるべきと書いています。確かにこう考えれば悪いイメージで診療を続けずに、常に自分の成長として捉えることができます。

 また、診断までのプロセスいついても重要なことが記載してありました。僕たちは“臨床推論”ということを学生時代から言われてきました。臨床推論においては仮説生成▶病歴聴取・身体所見▶検査前確率▶検査後確率▶確定診断▶仮説生成…というサイクルになっています。しかし僕たちは確定診断▶仮説生成の部分のトレーニングが不十分であるということに気付かされました。確かに、病歴聴取・身体診察、検査については色々と教わりましたが、仮説生成に関しては全くと行っていいほど意識していませんでした。というか意識すらしていませんでした。

 外来診療の質を上げたいと常日頃から思っていたので、僕はこの本を読んでは2つのことを実践してみようと思いました。まず1つ目は、最終ページのまとめを外来診療が始まる前に読んで、外来診療を始めることです。この本のエッセンスが最後のページに記載してあります。外来が始まる5分前に席につき、これを読んで外来に集中して診療を始めようと思いました。

 2つ目はフラッシュカードトレーニングを週1回5枚作って仮説生成のトレーニングをするということです。このフラッシュカードトレーニングは簡単に言うと、〇〇歳、男性/女性、主訴〇〇。みたいな情報だけで診断を想起するものです。そしてちょっとずつ条件を変えたり加えたりするだけで、診断がグワっと変わる。それを練習します。このトレーニングをすることで、「最初はこの疾患って思いながら診察してたけど、やっぱこれじゃない?」(医者あるあるですよね?)といった確定診断▶仮説生成のプロセスの訓練になり、診断学の役に立つんじゃないかなぁと考えます。(僕は今、へき地で勤務しているので多彩な疾患を経験することがあまりできないので、このトレーニングは頭のリハビリにも良いと考えました!)

 

 「この先生に見てもらって良かった。また見て欲しいな。」こんなこと毎回の外来で患者さんに思ってもらえれば最高じゃないですか?“いいとも“以上に長く続く外来を目指してがんばります!!

 

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。