高齢者のための感染症診療  (著者:岩田健太郎(監修・著)、高山義浩、馳亮太)

 

高齢者診療がメインとなる医師は必携の本です!!

 

誤嚥性肺炎について正確に診断する自身もなく、治療法についてもしっかりわかっていませんでした。
ルーチンの診察で何を気をつけて診察すればよいか曖昧だったし、発熱の患者の診察では「頭のてっぺんから爪先まで」の診察が重要と思いますが忙しいとないがしろにしていました。
高齢患者との付き合い方についてもあまりちゃんと向き合えてなかったなぁと思います。
これがこの本を読むことでスッキリしました!!

 

誤嚥性肺炎とは、microaspiration(微小誤嚥)によって起きる感染症で、明らかな誤嚥のエピソードがないのが普通です。誤嚥が露骨な場合は、むしろ微生物が関与していない誤嚥食物による肺への刺激、いわゆる「化学性肺臓炎」の可能性が高いです。”という1文で誤嚥性肺炎の臨床像が明確になりました。自分もへき地勤務で特養などから発熱患者がよく来ます。高齢患者の発熱は尿路感染か誤嚥性肺炎と言われますが、本当にそうなのか?といつも疑問を持っています。
“「48時間立っても良くならない肺炎は本当の肺炎」“というClinical peal大事にします。
2日間は様子を見ていいみたいですね。嫌気性菌のカバーも必須ではないためセフトリアキソンでOK。自分もよほど閉塞がなければセフトリアキソンでいっています!

 

“手を丁寧に観察する習慣が大切“
意外と身体所見をきちんと習える研修病院は多くないのではないでしょうか?一番の問題は指導医も診察の感度・特異度を理解してないことだと思います。難しいですよね。。。「自分も臨床推論して、この聴診所見があれば感度は…」みたいなことは全くできていません。もっと勉強しなければと思っています。サパイラ 身体診察のアートとサイエンス 原書第4版 (日本語)を買おうかなどうしようかな…
でもまずはこの本に書いてある身体所見を少しずつやっていこうと思います。

 

あと、最後の座談会の章で高山先生が高齢者の診察では「世代間ギャップ」のことを取り上げております。 “もっぱら医者側が若くて、高齢という経験を有していません。そういう圧倒的あ経験値の差があるのに、医学的な専門性によって理解した気になりがちです。そのことが、しばしば医師・患者感の葛藤となります。高齢医師の診療スタイルを研修医が学べば済む話ではないので、儀礼的な接し方を含めて、高齢者の医療では意識する必要がある”との文があります。自分も医師4年目で患者は80-90台の方々です。3年目に現職場についたときは患者の意思もあまり考えず薬をポンポン切っていました。外来の看護師長から「薬を飲んで安心したい人もいるんですよ。」と言われました。安心のために薬を飲んではいけないとは思いますが、、、患者の解釈モデルも尊重しつつ患者中心の医療の方法論を用いて、そして何より患者との関係性が重要だと感じるようになりました。

 

 

 

おまけ

“血液培養「陰性」=敗血症(×)ではない“

これは意外でした。

“▶菌血症bacteremia:血液の中に菌がいる状態。”

“▶敗血症 sepsis:感染症を原因に全身に炎症が起きている状態”

“▶重症敗血症 severe sepsis:臓器障害を伴う敗血症”

“▶敗血症性ショック septic shock:ショック状態の重症敗血症”

頭の中がスッキリしました。自分は感染症大好き総合診療医(仮)なので積極的に血培とってます!血培を取るのは菌血症を疑ったときと習いましたが、抗菌薬を投与する前は基本的には採取するようにしています。

 

 

長々とすみません。
もっと短く書きたいけど、書いているうちにどんどん膨らんでしまう。
ほんのショートサマリーを書く練習もしておかなきゃ。。。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。